WYSIWYGエディタにまつわる悩み

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Web Accessibility Advent Calendar 2016」の24日目です。予定欄に「積年の悩みを。」と記した通り悩みを書かせて頂こうかと思ったのですが、色々考えた結論としては「Webに載せるだけでもアクセシブルになる」「WYSIWYGはつらい(何回目だろうこれを書くのは)」ということにひとまず落ち着きました。

そもそもの発端

東京の制作会社を退職し2011年から福山の制作会社のエンジニアとして働くようになってから、「誰でもWord感覚でカンタンに更新できるホームページ」というこの近辺ではよく見かけるキャッチコピーと向き合うことになりました。東京時代は更新作業自体を請け負って私がマークアップをするなどしていましたので、CMS(主にMovable Type)でサイトを構築して納品しクライアント企業様が全ページを更新するという話は180度世界が変わったような感覚でした。

ここでどうしても自分の中で引っかかるのが「Word感覚で文章を書いてアクセシブルなページができあがるのだろうか」ということでした。書籍「デザイニングWebアクセシビリティ」でもよく見られる問題として「WYSIWYGエディタで問題が起きる」ことが挙げられていますが、正にその内容です。何年もずっとこの課題を抱えたまま解決できず時だけが経ってしまいました。クライアント企業様(小さな会社さんが多い)もCMSを操作することだけで精一杯のような状況もありました。

Webに載せるだけでもアクセシブルになる

そのような中、今年印象に残ったのは、AccSellメールマガジン第101号で伊原さんの寄稿にある次の一節でした。

アクセシビリティというと、何か特別な対応が必要なのではないか?と思われるかもしれません。しかし、私は「まずWebに何か載せるということ」それ自体がアクセシビリティを大きく高める第一歩なのだと考えています。

「そもそもWebの仕組み自体が圧倒的なアクセシビリティをもたらしている」という前提を、私たちは忘れてしまいがちです。

2016年6月に福山で洪水が起こった際、福山市のWebサイトに掲載された被害状況などをまとめたページが全くマークアップされておらず、また全角スペースでレイアウトが調整されていたのでFacebookで批判したのですが、木達さんから次のようなコメントを頂いたこともよく覚えています。

緊急性、速報性が高い情報であれば、まずは構造化が不十分であってもWebに出す、というのも必要なことで。

私が私の悪いクセである完璧主義に陥り、「きちんと構造化したものでなければWebに出してはいけない」と思い込んでいたかもしれません。今までWebサイトがなかった、もしくはWebサイトがあっても更新されていなかった状況が、私の関わるプロジェクトによりクライアント企業様においてスピーディーに情報が出せるように改善できただけでもいくらかアクセシビリティを高めることができていたのかもしれません。(都合の良い解釈...?)

表が上手く構造化できていない現実などもある

しかし、Webに載せてはいるもののアクセシビリティが高まっているとは思えない状況も見られました。例えば「今年は沿道給食のラーメンに5店舗が参加! | おかやまマラソン2016」のようなページです。

WordPressを使われているのでおそらくWYSIWYGエディタでページを編集すると思われますが、WYSIWYGエディタで上手くレイアウトすることができなかったのか、ラーメンの画像と店舗名・ラーメン紹介文をまとめた部分がWordかExcelを利用して作成したデータを画像化して貼り付けただけの状態になっています。代替テキストも付与されていません。

上記の例では表でレイアウトすることにこだわらなくても良い気がしますが、表が関係するレイアウトでは問題が見られることが多いように感じます。また、画像の代替テキストが適切でない事例も多いでしょう。

まとめ

そのような訳で、私はいつの日からかずっと見るようになったWYSIWYGエディタに変わる何かの登場、もしくはWYSIWYGエディタがさらに発展するなどし、よりよいHTMLが生成できるようになってアクセシビリティがさらに高まる日を待ち望んでいます。もちろんクライアント企業様にCMSを導入していく私も、Webアクセシビリティについてしっかり伝えていけたらとも考えています。

意図を正しく据えられているか不安ですが、次のようなツイートを見ましたので載せておきたいと思います。